ベルトコンベアー

二十三日からの僕の三日間は、ベルトコンベアの速さによって統制されていた。 ベルトコンベアが運んでくる箱の中の所定位置に、ビニール手袋でひたすらに佃煮を詰める。二十四時から朝九時までの間に約一万個のそれを完成させるのが僕の新たに契約された職場…

ブラッドオレンジジュースが子供用風邪薬の味をする

僕は風邪っぽかった。 風邪にはビタミンCだろう、ビタミンCと言えばオレンジだろう、オレンジジュースでも同じだよね、という流れでブラッドオレンジジュースを買った。どうせなら飲み慣れた濃縮還元のものではなくて、ちょっとお洒落に、というわけでブラ…

Frustrated Imcorporated

悲嘆は結束を好むと彼らは言う。 冬の山には死が溢れていた。 氷点下の気温と短い日照時間は、死の絶対値として生のそれを圧倒していた。 その死の風景を、ひと通り僕だけのアングルで水性カラーのペンを使ってスケッチした。 何度も手がかじかんでは描くの…

戦争を終えた世界 

どこにも到達しない。 僕はながら族なのだ。 仕事をしていたってあの子の事を考える。 そして彼女は違う。集中力の前頭葉から僕は消え失せる。 僕は彼女のなかに生きている自分の半分が死んでしまって、痛みにのたうちまわる。 それは死に最も近い痛み。 生…

ドラッグクィーン的冬季

今年の冬は厚化粧らしい。去年よりも少しだけ。 それでももう12月だというのに、日が沈まない間にはちょろちょろと雪が溶け出す音が聞こえるほどの陽気もある。気まぐれなドラッグクィーンのような天候だ。 それにしても、雪化粧、というにはあまりにもさ…

All We All Are All Yellow, Aren't we?

ホワイトカラー・イグザンプション(エグザンプションとも読まれる・以下略してWE)、断固反対です。 キリストとアラーが組んで、正義と道理を振りかざしながら信者以外を蹂躙してるみたいだ、経団連と厚生省のタッグ。 法律の解釈というのは明確でなけれ…

悲しみの存在意義

キスがうまくなりたいという願望を持ったことがある人間と、それを自然のなりゆきに任せようと思った人間との間には、創造する側とそれを批評する側くらいの隔たりをもって、永遠に分かち合えない価値観が存在する。そしてその間にまたキスに関する様々な考…

サンタクロースにドロップキック

恋人が嘘をつく。 僕が原因だという。 堂々巡りのいつもの議論。 何度も輪廻転生した後にも似た疲れ。 僕は良く晴れた午後の桜吹雪を夢想する。中目黒の。ああ、川岸で、うまいワインと、ピザで、、、そして、そして、あとは、、、 あとは君。 あとはそこに…

あなたがわたしのことを覚えていてくれれば、世界中の人に忘れられてもかまわない。

と、小説のなかの素敵な人はいった。 僕は昼時でごったがえすロッテリアの片隅で一粒涙を流す。同情でも感動でもない、しいていうなら達成がもたらすそれかもしれない。 電子音のミッキーマウスマーチ。チャイルドチェアを引きずる音。タバコの灰を捨てる「…

ドキドキずるずる

今日は色々初体験したが、何の初体験かはあえて記さない。 この年になっても初めて何かを経験するというのは、冬山に餌を探しに行くお腹ペコペコで冬眠できない熊みたいで、どこか諦めていることだけれど(もちろんそれはティーンエイジャーのあの頃のような…

memo

引き算の美学 あるがままとはシンプルなこと 色のレイヤーのない平面 単色のパーツのあつまり 包丁のみの味付け ありのままとは受け入れること たどり着いた先を想像せずにいること 今いるそこで感じること 歴史と現在の関連性すら探らない

寒いって言うの禁止

よく使われるフレーズだ。冬空だってのにアッツアツのカップルなんかが、「おいおい、そういいながらミキこそ先に寒いって言ってんじゃーんあはははまてまてー」なんていう馬鹿丸出し系の幸せそうな会話をしている時によく聞く。ミキちゃんがかわいらしいの…

コンペイ糖溶けて

気負いなく日々生活をこなす。それは小さなコンペイ糖のような邪気を、すっからかんのこころに一粒ずつころんころんと落としていく作業だ。 コンペイ糖は、もともとは球であった七色の砂糖の小さなかたまりを、一色ずつ小型タンクローリーのような容器の中で…

クレイジー・クレイジー

ひどいフブキなのだ。出かけるのが億劫になるくらい。この時期―またもや季節の話で申し訳ないが―1日に30cm以上の降雪を記録する北方の国々では、引きこもりの人口がその年代に関係なく夏のそれと比べて、40%も上昇するという。(『カオス4想像』調…

父なる夜

夜とは仲良くやるほうがいい。 けれどひとりで過ごす夜と仲良くするのは難しい。明け方まで起きていると夜霧と北風の悪霊に呪われて奇妙なダンスを踊る羽目になる、なんて事は誰も思ってはいないだろうけど。それでも夜と付き合い続けていると、AM3:00こ…

雪の降る街は照らされて

さっぽろはすっかり雪だ。雪国の四季はわかりやすい。雪が降れば冬だし、解けはじめたならば春、八月と九月に少しばかり夏があって、山頂が紅葉しはじめたらそれは秋だ。そしてまた雪が降れば、「ああ、いやだいやだ。」とみんな言い始める。短かった夏を思…

また書きはじめてしまった

またはじめる。 書かなければいけなくなったから、というのが主な理由だけれど、一番はひっそりと自分の足跡を残したいからなのだろう。 数多のブロガーたちと同じ理由。小さな自己顕示欲である。とりあえず書きたいだけ書こう。 前のサイトには確実に発信す…