ドラッグクィーン的冬季

 今年の冬は厚化粧らしい。去年よりも少しだけ。
 それでももう12月だというのに、日が沈まない間にはちょろちょろと雪が溶け出す音が聞こえるほどの陽気もある。気まぐれなドラッグクィーンのような天候だ。

 それにしても、雪化粧、というにはあまりにもさんざんな量が降り積もる。

 東京で見るような、枝だけの木々やカラフルな人々の防寒具にそっと頼りなく降りたち、普段あじけない鼠色の街もろとも、そう長くない間だけ淡い白紫色に変え、そしていつしかつつましく消えてい行く、とようなのを雪化粧というのであって、すでに膝まで積もった雪に追い討ちをかけるような視界ゼロメートルの吹雪なんてのは、同じ雪景色を語るにもまったく違った話になってくる。